GLP-1ダイエットとは?ウゴービとゼップバウンドの違いをわかりやすく解説

「打つだけで痩せる」「セレブ御用達」

GLP-1は、そんな派手な言葉だけで語られがちです。
しかし実態は“短期ダイエット”ではなく、海外では肥満を慢性疾患として長期管理する治療薬として急拡大しています。

本記事では、代表薬のウゴービ(セマグルチド)とゼップバウンド(チルゼパチド)を軸に、海外市場の動向、作用機序、保険適用の考え方、自費・美容目的との線引きまで、誤解が起きやすいポイントを整理します。

Contents

❶GLP-1 抗肥満薬(ダイエット薬)の正体

近年、ダイエット(抗肥満)領域で急速に注目を集めているのが、GLP-1関連製剤です。

SNSやメディアでは「打つだけで痩せる」「海外セレブが使っている」といった言葉が先行しがちですが、今日はこの辺りの情報を整理整頓します。

本記事では、

  • セマグルチド(ウゴービ)
  • チルゼパチド(ゼップバウンド)

という2つの代表的な薬剤を軸に、市場動向・作用機序・制度・違いを整理します。


❷海外におけるGLP-1市場の動向と使われ方

海外のGLP‑1市場は「糖尿病薬」から「肥満という慢性疾患を長期管理する薬」へと役割がシフトし、その結果として市場規模も実臨床での使われ方も大きく変化しています。

海外GLP‑1市場の規模感

  • 体重減少を目的としたGLP‑1アゴニスト市場は、2024年時点で約140億ドル規模と推計され、2030年には約490億ドルまで拡大すると予測されています。grandviewresearch
  • GLP‑1全体の市場は、2024年頃約493億ドルから2035年に1,575億ドルへ成長すると見込まれ、「数十年ぶりの大型カテゴリー」として世界の製薬市場を牽引する存在になっています。finance.yahoo

どれくらい使われているのか(利用者・処方の広がり)

  • 米国の2024年の調査では、「成人の約8人に1人(12%)」が何らかのGLP‑1製剤を使用経験ありと回答しており、もはや一部の専門的治療ではなく、かなり一般化した治療選択肢になりつつあります。mitsui
  • GLP‑1による減量薬市場では、2024年時点で北米が売上の約75%を占めており、その中でも米国が大半を占有していると報告されています。grandviewresearch

体重減少効果のエビデンス

  • セマグルチド2.4 mg(週1回皮下注:肥満症用用量)の大規模試験では、生活習慣介入と併用することで約68〜104週間で平均約15%前後の体重減少が得られ、2年間にわたり体重減少が持続することが示されています。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
  • チルゼパチドのSURMOUNT‑1試験では、肥満または過体重の成人2,539人で、72週間の治療により平均16〜22.5%という非常に大きな体重減少が報告され、多くの被験者が「体重20%以上減少」を達成しています。bariatricnews+1​

海外での「使われ方」の特徴

  • 米国などでは
    • BMI30以上、もしくはBMI27以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの合併症がある場合など、明確なBMI基準+合併症の有無に基づいて処方されることが一般的です。diabetes+1​
    • 食事療法・運動療法・行動療法をベースに、GLP‑1を慢性的に継続投与する前提で体重と合併症を長期管理する設計がとられています。pmc.ncbi.nlm.nih+1​
  • そのため、海外のガイドラインでは「数カ月だけ飲んで終わりの“短期ダイエット薬”」ではなく、
    • 高血圧や糖尿病と同じく、慢性疾患としての肥満を長期的にコントロールする治療薬として位置づけられている点が重要です。nature+1​

日本の「美容ダイエット」との温度差

  • 日本のメディアでは「痩せる注射」「GLP‑1ダイエット」といった美容的文脈で取り上げられることが多い一方、海外の臨床試験や保険償還の枠組みでは、心血管リスクや2型糖尿病発症リスクの低減などを含めた医学的アウトカムの改善が主目的になっています。nature+1​
  • つまり、海外のGLP‑1市場は
    • 「生活習慣の乱れを自己責任で正すためのサプリ」ではなく
    • “肥満という病気”を長期にわたってコントロールするための治療薬市場として急拡大している、というのが現在の姿です。finance.yahoo+1​
  1. https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/glp-1-agonists-weight-loss-drugs-market-report
  2. https://www.nature.com/articles/s41591-022-02026-4
  3. https://finance.yahoo.com/news/glp-1-market-industry-trends-093300924.html
  4. https://www.mitsui.com/mgssi/en/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2025/08/25/2507_t_sawano_e.pdf
  5. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11925721/
  6. https://www.bariatricnews.net/post/surmount-1-tirzepatide-results-in-22-5-weight-loss-in-adults-with-obesity-or-overweight
  7. https://www.acc.org/Latest-in-Cardiology/Clinical-Trials/2022/08/04/15/32/SURMOUNT-1
  8. https://diabetes.org/newsroom/surmount-1-study-finds-individuals-%2520with-obesity-lost-up-to-22.5-percent-body-weight-taking-tirzepatide
  9. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12474656/
  10. https://www.nature.com/articles/d41573-025-00155-2
  11. https://www.iqvia.com/locations/united-states/blogs/2025/10/non-traditional-channels-the-compounded-glp-1-market
  12. https://www.globenewswire.com/news-release/2025/12/23/3209708/28124/en/GLP-1-Agonists-Ozempic-Wegovy-Mounjaro-Market-Global-Forecast-to-2033-With-the-Semaglutide-Patent-Expiring-in-2026-Onwards-the-Biosimilars-Market-is-Expected-to-Grow-Significantly.html
  13. https://www.futuremarketinsights.com/reports/obesity-glp-1-market
  14. https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2796491
  15. https://www.allianz.com/content/dam/onemarketing/azcom/Allianz_com/economic-research/publications/specials/en/2024/december/2024-12-03-pharmaceuticals.pdf

❸GLP-1製剤とは何か

GLP‑1は「食べる量を減らしやすくして、結果として太りにくい状態を作るホルモン」です。脂肪を直接燃やす“燃焼系サプリ”ではなく、「食行動が変わりやすい環境」を作るタイプのメカニズムだとイメージするとわかりやすくなります。kenbi-clinic

GLP‑1とはどんなホルモンか

GLP‑1(Glucagon‑Like Peptide‑1)は、食事をとったあとに小腸から分泌される消化管ホルモン(インクレチン)の一種です。wikipedia+1​
もともとは血糖値のコントロールに重要なホルモンとして知られていましたが、近年は「食欲」と「体重」のコントロールにも大きく関わることがわかり、糖尿病治療薬・肥満症治療薬の標的になっています。beauty.shinchitose-clinic+1​

1. 食欲を抑える作用

GLP‑1は血液に乗って脳(特に視床下部などの食欲中枢)に届き、「もう十分食べた」というシグナルを強めます。yurakubashi+1​
その結果、

  • 食事量が自然と減りやすくなる
  • 「もっと食べたい」という欲求が弱まりやすくなる
    といった形で、行動としての食欲が抑えられます。yurakubashi

2. 胃の動きをゆっくりにする

GLP‑1には、胃の内容物が腸へ送られるスピード(胃排出)を遅らせる作用があります。tamatani-clinic
胃から腸への移動がゆっくりになることで、

  • 食後の満腹感が長く続く
  • ドカ食い・間食したくなるタイミングが遅くなる
    といった効果につながります。tamatani-clinic

3. 血糖値の急上昇を抑える

GLP‑1は膵臓に作用し、血糖値が高いときにインスリン分泌を促進し、逆に血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑えます。wikipedia+1​
そのため、

  • 食後血糖の「ドンッ」という急上昇を抑える
  • 血糖値の波をなだらかにして、糖尿病リスクや合併症リスクを下げる
    といった、代謝面でのメリットも得られます。wikipedia

「満腹感が続きやすい」状態をどう作るのか

これら3つの作用が同時に働くことで、

  • そもそも食べ始める量が減る(食欲低下)
  • 食べた後もお腹がすきにくい(胃排出の遅延)
  • 血糖値の乱高下による「急激な空腹感」が起こりにくい(血糖コントロール)
    という、「食べたい量が自然に減り、満腹感が続きやすい」環境が整います。yurakubashi+1​

勘違いしやすいポイント:「脂肪を燃やす薬」ではない

GLP‑1関連の薬は、よく「痩せる注射」「脂肪を落とす薬」として紹介されますが、脂肪細胞に直接働いて脂肪を燃やしているわけではありません。nature+1​

実際には、

  • 食事量・間食を減らしやすくする
  • 長期的に摂取カロリーを下げ、体重を落としやすくする
    という“間接的な”効果で体重が減っていく薬です。nature+1​

「食行動を変えやすくする薬」として理解する

GLP‑1をターゲットにした薬を使うと、

  • 「頭では分かっているけど、食欲に勝てない」
    という状態が、「自分でも無理なく食べる量を減らせている」に近づきます。kenbi-clinic+1​
    その意味で、GLP‑1製剤は
  • 意志の力を補強してくれる
  • 生活習慣の改善を“続けやすくする”環境を作る
    「食行動を変えやすくする薬」と捉えると、実態にかなり近いイメージになります。uruclinic+1​
  1. https://kenbi-clinic.com/column/2021-03-19-198/
  2. https://ja.wikipedia.org/wiki/GLP-1
  3. https://beauty.shinchitose-clinic.com/%E7%BE%8E%E5%AE%B9%E5%A4%96%E6%9D%A5/glp-1%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/
  4. https://uruclinic.com/glp-1%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%E4%BD%9C%E5%8B%95%E8%96%AC
  5. https://yurakubashi.com/blog/908
  6. https://www.tamatani-clinic.com/diabetes/glp-1/
  7. https://www.nature.com/articles/d41573-025-00155-2
  8. https://www.nature.com/articles/s41591-022-02026-4

❹ウゴービ(セマグルチド)の特性

ウゴービ(一般名:セマグルチド)は、「GLP‑1というホルモンの働きを強く・長くすることで、食欲と体重をコントロールする」タイプの注射薬です。sugiuraclinic+1​

ウゴービはどんな薬か

  • ウゴービはGLP‑1受容体作動薬と呼ばれるグループの薬で、体内のGLP‑1受容体に結合して、GLP‑1と同じような作用を長時間発揮するように設計されています。uruclinic+1​
  • もともと糖尿病薬として開発されたセマグルチドを「肥満・体重管理」に特化した高用量で使う位置づけがウゴービです。eki-kuri

作用機序:GLP‑1単独作用の「王道タイプ」

  • ウゴービはGLP‑1受容体だけをターゲットにした「GLP‑1単独作用」の薬で、GIPなど他のホルモンとの複合作用ではありません。numon.pdbj+1​
  • そのため、GLP‑1の典型的な作用である
    • 食欲抑制(脳の食欲中枢への作用)
    • 胃排出遅延(胃から腸への移動をゆっくりにする)
    • 食後血糖の上昇を抑える
      といった効果が「教科書どおり」に現れる、比較的シンプルな設計の薬と言えます。tamatani-clinic+1​

主な効果:食欲抑制と摂取量低下

  • 臨床試験では、ウゴービを生活習慣改善と併用することで、1〜2年のスパンで平均約15%前後の体重減少が得られたことが報告されており、「食欲が自然に落ちる」「食べる量が減る」ことでエネルギー収支がマイナスになるのが基本構図です。nature+1​
  • 「脂肪を直接燃やす」というより、
    • 食事量が減る
    • 間食が減る
    • 満腹感が長く続く
      といった行動変化を通じて、結果的に体重が下がっていく薬です。yurakubashi+1​

用量:段階的な増量が必須

  • ウゴービは、いきなり最大量を使うのではなく、数週間〜数カ月かけて少しずつ用量を上げていく「漸増(ステップアップ)」が標準的な使い方です。sugiuraclinic+1​
  • これはGLP‑1特有の消化器系副作用(吐き気、嘔吐、胃部不快感、下痢・便秘など)を和らげるためで、体を少しずつ慣らしながら目標用量に到達させることが重要とされています。tamatani-clinic+1​

海外での位置づけ:慢性体重管理薬

  • 米国などでは、ウゴービは「慢性体重管理(chronic weight management)」の薬として承認されており、BMI基準や肥満関連合併症(高血圧・脂質異常症・2型糖尿病など)の有無に基づいて長期投与する前提で使われています。diabetes+1​
  • つまり、「数カ月だけ打って終わりのダイエット薬」ではなく、生活習慣改善とセットで肥満という慢性疾患を長期管理する薬として位置づけられている点が特徴です。nature+1​

必ず押さえたい注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、嘔吐、胃もたれ、腹痛、下痢・便秘といった消化器症状は、GLP‑1製剤で非常によく見られる副作用で、ウゴービでも頻度は高いと報告されています。sugiuraclinic+1​
    • 多くは用量増量期に強く出やすく、増量スピードを調整したり、一時的に用量を据え置くことでコントロールを図ります。sugiuraclinic
  • 用量調整の重要性
    • 医師の指示に沿って「増量スケジュールを守る」ことが、効果と安全性のバランスを取る上で極めて重要です。eki-kuri+1​
    • 体調や副作用の出方によっては、予定どおり増量せず、一定量で維持する判断がなされることもあります。sugiuraclinic
  • 中止後の体重再増加リスク
    • ウゴービの長期試験では、投与中止後に体重がじわじわと戻っていく傾向が示されており、「薬をやめれば多くの場合、体重もある程度戻る」ことがデータとして確認されています。nature
    • そのため、ウゴービは「一度打てば一生痩せたまま」になる魔法の薬ではなく、あくまで使っている間に生活習慣を整え、やめた後も続けられる習慣をどこまで作れるかがカギになる治療と言えます。nature+1​
  1. https://sugiuraclinic.com/glp-1/
  2. https://uruclinic.com/glp-1%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93%E4%BD%9C%E5%8B%95%E8%96%AC
  3. https://numon.pdbj.org/mom/311?l=ja
  4. https://eki-kuri.com/column/wegoby_column/
  5. https://www.nakamura-dmclinic.com/glp1/
  6. https://www.tamatani-clinic.com/diabetes/glp-1/
  7. https://www.nature.com/articles/s41591-022-02026-4
  8. https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2796491
  9. https://yurakubashi.com/blog/908
  10. https://diabetes.org/newsroom/surmount-1-study-finds-individuals-%2520with-obesity-lost-up-to-22.5-percent-body-weight-taking-tirzepatide
  11. https://www.nature.com/articles/d41573-025-00155-2

❺ゼップバウンド(チルゼパチド)の特性

ゼップバウンド(一般名:チルゼパチド)は、「GIP」と「GLP‑1」という2種類のホルモン受容体に同時に作用する“デュアルアゴニスト”で、ウゴービよりも強い体重減少効果が報告されている新しいタイプの肥満症治療薬です。

ゼップバウンドはどんな薬か

ゼップバウンドは週1回自己注射するタイプの注射薬で、もともとは2型糖尿病治療薬として開発され、その高い体重減少効果から肥満症の体重管理薬としても位置づけられています。
従来のGLP‑1単独作用薬に比べ、「より広く代謝を動かす設計」になっているのが大きな特徴です。

作用機序:GIP+GLP‑1の二重作用

ゼップバウンドは、

  • GIP受容体
  • GLP‑1受容体
    の両方を刺激することで、インスリン分泌・食欲・エネルギー代謝に同時に働きかけます。GLP‑1による「食欲抑制・胃排出遅延・血糖コントロール」に加えて、GIP経路を活かすことで、より強い体重減少・代謝改善効果が期待される設計です。

体重減少効果:より強い減量が報告

大規模試験では、生活習慣介入と併用した場合に、1年以上の投与で平均20%前後という非常に大きな体重減少が報告されており、多くの被験者が「体重の5分の1以上減少」を達成しています。
これはGLP‑1単独薬(ウゴービなど)よりも一段階強い減量幅とされ、「現時点で最も体重減少効果が大きい群の薬」として位置づけられています。

代謝・食欲への幅広い影響

ゼップバウンドは、

  • 食欲を下げて摂取カロリーを減らす
  • 胃の動きをゆっくりにして満腹感を持続させる
  • 血糖・脂質などの代謝パラメータを改善する
    といった、食欲と代謝の両面に作用するため、単なる「体重」だけでなく、肥満関連の代謝リスクの改善も期待されます。
    この「代謝+食欲双方に広く作用する」ことが、デュアルアゴニストならではの強みです。

注意点:強い薬だからこその“合う・合わない”

一方で、作用が強い分だけ、

  • 吐き気、嘔吐、胃部不快感、下痢・便秘などの消化器症状
  • 倦怠感などの全身症状
    が出やすい人・出にくい人の差が、GLP‑1単独薬以上にはっきりしやすいとされています。
    「効き目が強いほどいい」というより、その人の体質・基礎疾患・ライフスタイルに合うかどうかを見極めることがより重要になります。

副作用管理と適応判断の重要性

ゼップバウンドは、

  • 適切な患者選択(BMI、合併症、既往歴など)
  • 低用量からの慎重な漸増
  • 副作用が強いときの増量ペース調整・一時中断
    といった「使い方のマネジメント」が治療の成否を大きく左右する薬です。
    そのため、「効果が強い=誰にでも向く万能薬」ではなく、医師と相談しながら**“自分にとってのメリットと負担のバランス”を見極める薬**として理解するのがポイントになります。

❻保険適応を受けるための大まかな条件(日本)

日本でGLP‑1製剤などの肥満症治療薬が保険適用になるためには、「単に太っている」ではなく医学的に治療が必要な肥満症と診断されていることが前提になります。

日本での「肥満症」という考え方

日本では、見た目としての「肥満」とは別に、生活習慣病や合併症リスクが高い状態を指す「肥満症」という診断名が使われます。
この肥満症に該当して初めて、薬物療法(GLP‑1製剤など)を含む本格的な治療が検討されます。

保険適用の大まかな条件

保険で肥満症治療薬を使うための条件は、概ね次のように整理されています。

  • 一定以上のBMI

例えば、BMI35以上の高度肥満、あるいはBMI27以上で肥満関連の健康障害を複数有する場合などが基準として用いられます。

  • 肥満に関連する健康障害の存在
    • 高血圧
    • 脂質異常症
    • 糖代謝異常(耐糖能異常・2型糖尿病など)
    • 睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝など
      こうした「肥満が原因・増悪因子になっている病気」を合併していることが重要です。
  • 生活習慣介入で十分な改善が得られないこと
    • 一定期間、食事療法や運動療法などの非薬物療法を試みても体重や関連疾患の改善が不十分な場合に、次の選択肢として薬物療法が検討されます。

「美容目的」と保険診療の線引き

上記の条件からも分かるように、

  • 「痩せたいから使いたい」
  • 「見た目を良くしたいから使いたい」
    といった理由だけでは、保険診療で肥満症治療薬を使う対象にはなりにくいのが現状です。
    保険適用はあくまで、健康障害を伴う肥満症を医学的に治療するという枠組みで運用されており、美容・見た目だけを目的とした使用は、公的保険の守備範囲から外れる位置づけになります。

❼自費診療と美容目的利用の違い

日本でのGLP‑1製剤の「自費診療」と「美容目的利用」は、重なる部分もありますが、本来は意味合いも前提も異なります。ここを整理しておくと、リスクや限界がかなり見えやすくなります。

自費診療とは何か

  • 自費診療は、公的医療保険を使わずに医療機関が独自に提供する医療サービス全般を指し、費用は全額自己負担になります。
  • たとえ保険外であっても、診察・検査・処方・副作用管理などは「医療行為」であり、医師による説明責任や安全管理義務が伴います。

美容目的利用とは何か

  • 美容目的利用では、「体重減少=見た目の改善」としてGLP‑1製剤が語られがちで、健康リスクの是正よりも見た目や短期的な減量成果が前面に出ます。
  • 「何kg痩せられるか」「いつまでに痩せられるか」といった短期成果への期待が先行し、投与期間・終了後のフォローなど長期設計が曖昧になりやすいのが特徴です。

両者の違いとグレーゾーン

  • 自費診療は、本来「保険適用の枠から外れる治療選択肢を、医療として提供するもの」であり、治療目的・リスク説明・経過観察がセットになっている前提です。
  • 一方、美容目的利用では、「医療用医薬品を、痩身エステやサプリの延長」のように扱ってしまい、体質・既往歴・合併症リスクの評価が十分でないまま使用が進むと問題になりやすくなります。

一番の問題点:「サプリ感覚」になりやすいこと

  • GLP‑1製剤は、インスリン分泌や血糖・胃腸の動き・食欲中枢に強く作用する、れっきとした医療用医薬品であり、用量・投与期間・中止方法を誤ると有害事象やリバウンドのリスクが高まります。
  • 「飲む(打つ)だけで痩せる」「とりあえず試してみる」といったサプリ感覚で使うと、想定以上の副作用や、中止後の急激な体重増加・メンタル面の負担など、長期的なデメリットが大きくなる可能性があります。

理解しておきたいポイント

  • GLP‑1製剤は、あくまで「肥満という慢性疾患のコントロールを助ける薬」であり、「美容アイテム」や「手軽なダイエットグッズ」ではありません。
  • 自費診療であっても、美容目的であっても、
    • 医師がリスクとベネフィットを評価すること
    • 本人が副作用・中止後の体重変化を含めた長期的な設計を理解していること
      が満たされて初めて“安全な使い方”に近づきます。

有料版で続きが気になる方は、Noteブログを見ていただけたら幸いです。https://note.com/quickavoid/n/nc6d7e81d8abf?

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