【遺伝子治療の新時代】初の“塗るタイプ”治療薬「バイジュベックゲル」とは?価格295万円の理由をやさしく解説

🐼ヘルスケアとお金に関わる難しいことをシンプルに解説します。
おはようございます☀️ももんがパピです。
今日もヘルスケアやお金に関するニュースをわかりやすく解説して、読者の皆様方のヘルスリテラシー向上にお役に立てれば幸いです。


🩷今日のテーマに込めた想い

今日のテーマは、「初の塗るタイプの遺伝子治療薬・バイジュベックゲル」です。
ニュースでは「薬価2瓶1組295万円」と聞いて、「え!? そんなに高いの!?」と思った方も多いかもしれません。

でも、今回のニュースは“未来の医療のかたち”を感じさせる、とても大きな意味を持つ話題なんです。

遺伝子治療と聞くと、注射や手術のようなイメージがありますよね。ところが今回の「バイジュベックゲル」は、なんと“皮膚に塗るだけ”。
それで遺伝子を補い、難病を治す可能性を持つというから、まさに医療の常識が変わるニュースなんです。

とはいえ、「295万円ってどうしてそんなに高いの?」「遺伝子を塗るってどういうこと?」「誰が対象なの?」など、わからないことも多いですよね。

今日はそんな疑問を、パンダ君🐼とハムスターちゃん🐹と一緒に、シンプルにやさしく解きほぐしていきましょう。


✅3つの要点

✅① “塗るだけで遺伝子を届ける”という革命的発想
これまでの遺伝子治療は、注射や手術で体の奥に薬を届けるものがほとんどでした。
でも「バイジュベックゲル」は、皮膚に“ぬる”ことで遺伝子を運ぶ仕組みを持っています。
つまり、注射が怖い子どもでも治療できる優しさがあるんです。
これまで届かなかった「皮膚の細胞」に直接アプローチできる点が画期的です。

✅② “希少な難病”に希望をもたらす治療薬
対象の病気「栄養障害型表皮水疱症(DEB)」は、皮膚がとても弱く、ちょっとした摩擦で水ぶくれや傷ができてしまう病気。
日本では250〜500人ほどしかいない“超希少疾患”です。
これまで根本的な治療法がなかった中で、バイジュベックゲルが「遺伝子レベルでの修復」をめざすことは、患者さんや家族にとって大きな希望となります。

✅③ 高額でも、“未来への投資”という考え方
2瓶で約295万円という価格は、一見するととても高いですよね。
でも、開発には長い年月と多くの研究費がかかっています。
しかも対象患者が少ないため、1人あたりの薬価が高くなりやすいのです。
「たった数百人の命に光を当てる」――その意義を考えると、これは社会全体の希望への投資ともいえるのです。


🧴こんなニュースをわかりやすく解説します

📅2025年10月15日の中医協総会のニュースより

中医協(中央社会保険医療協議会)は、Krystal Biotech Japanの新薬「バイジュベックゲル(一般名:ベレマゲン ゲペルパベク)」の薬価収載を了承しました。
収載日は2025年10月22日。薬価は2瓶1組295万5232円です。

この薬の効能は、**栄養障害型表皮水疱症(DEB)**という遺伝性の皮膚疾患。
この病気は、COL7A1という遺伝子の変化により、皮膚の“接着力”を支えるタンパク質(VII型コラーゲン)が作れなくなることが原因です。
その結果、皮膚や粘膜がはがれやすく、日常生活でも痛みを伴う水ぶくれが繰り返しできてしまいます。


💡どんな薬なの?

バイジュベックゲルは、「単純ヘルペスウイルス(HSV-1)」をベースに作られた遺伝子治療薬です。
といっても、感染するウイルスではなく、遺伝子を運ぶ“安全な乗り物”として使うイメージです。

ウイルスが皮膚の細胞に入る力を利用して、正常なCOL7A1遺伝子を傷口に届けることで、足りないコラーゲンを補い、創傷の治りを促進します。
使い方はとてもシンプル。週に1回、患部に「ポトン」と滴下して塗るだけ。
なんと、生まれたばかりの赤ちゃんからでも使える設計なのです。


💰どうしてこんなに高いの?

薬価は2瓶で約295万円。高額な理由は主に3つです。

1️⃣ 開発コストが高い
遺伝子治療は、通常の薬よりも開発期間が長く、試験の規模も小さいため、1人あたりのコストが高くなります。

2️⃣ 患者数が少ない(希少疾患)
国内の患者はわずか数百人。売上で開発費を回収するため、価格は高めに設定されます。

3️⃣ 有用性加算+市場性加算の評価
「ほかに治療法がない」「国内で試験を実施した」などの理由で、有用性加算(50%)と市場性加算(15%)がつきました。
ただし、製造原価の開示率が50%未満だったため、最終的な加算はゼロとなっています。


🐼🐹パンダ君とハムスターちゃんのやさしい解説タイム

🐹「ねぇパンダ君、薬を“塗る”だけで遺伝子を直すって、まるで魔法みたいだね!」
🐼「たしかにね。でも、ちゃんと科学の仕組みがあるんだよ。
 ウイルスを使って“遺伝子の手紙”を皮膚に届けるって感じなんだ。」
🐹「えっ、ウイルス?怖くないの?」
🐼「大丈夫。悪さをしないように“中身を入れ替えた安全なウイルス”なんだ。
 いわば、手紙を運ぶ“郵便屋さん”の部分だけを使ってる感じだね。」

🐹「なるほど〜。でも、295万円って高すぎない?」
🐼「そう思うよね。でも考えてみて。
 患者さんは全国でも数百人しかいない。研究開発や治験にかかったお金を、たったそれだけの人数で分けると…どうしても高くなるんだ。」
🐹「うーん、なるほど…。それでも、“塗るだけで痛みが減る”なら希望だね。」
🐼「そうなんだ。これまで“痛みを我慢して包帯を替えるだけ”しかできなかった人たちが、
 “自分で治療できる”時代に近づいているんだよ。」

🐹「それって、在宅医療にもつながるね!」
🐼「そうそう!この薬は“家でも使えるように設計されてる”んだ。
 将来的には、病院だけじゃなくて、家で家族と一緒に治療を続けられるようになる。」
🐹「なんか、医療が“病院の外”に広がっていく感じがするね!」
🐼「うん。バイジュベックゲルは、単なる薬じゃなくて、
 “医療の未来を変えるドアノック薬”みたいな存在なんだ。」


🌱これからの医療とお金の考え方

ももんがパピとして、このニュースで一番伝えたいのは、
「高い薬=悪い」ではなく、「高い理由には意味がある」ということです。

たとえば、スマートフォンも最初は高かったけれど、
新しい技術が社会に広まることで、少しずつ価格が下がり、使える人が増えていきました。
医療も同じで、最初の一歩を踏み出す薬があるからこそ、次の技術が生まれます。

“塗る遺伝子治療薬”が当たり前になる未来を想像すると、
「注射が怖い」「通院が大変」という壁が減り、より多くの人が治療を受けられる世界に近づいていくでしょう。


🧩まとめ

  • バイジュベックゲルは“塗るタイプ”の遺伝子治療薬として世界初。
  • 対象は「栄養障害型表皮水疱症」という超希少疾患。
  • 遺伝子を皮膚の細胞に届けて、欠けたコラーゲンを補う仕組み。
  • 薬価は2瓶で295万円、高額だが開発・研究費や希少性が背景。
  • 在宅投与も可能で、“未来の医療の入り口”となる期待大。

また、本記事の引用元は以下になっております。
・タイトル:初の塗布する遺伝子治療薬・バイジュベックゲル 10月22日収載へ 薬価は2瓶1組295万円 中医協総会
・URL:https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=79117&ex251016e


🌸ももんがパピよりひとこと🌸
医療の世界では、まだまだ「高額だから」「難しいから」と敬遠されるニュースも多いですが、
一歩引いてみると、それは“未来を先に開けた扉”でもあります。
塗る遺伝子治療薬――それは、誰かの「痛み」をやわらげるだけでなく、
社会全体が“新しい治し方”を受け入れていくための第一歩なのです。