大阪国際がんセンターが始めた「問診生成AI」と「看護音声入力AI」ってなに?

――2025年10月2日のニュースをわかりやすく解説します――

1. こんなニュース

2025年10月1日、大阪国際がんセンターと日本IBM、それに医薬基盤・健康・栄養研究所が協力して、「問診生成AI」と「看護音声入力AI」を本格的に使い始めました。

  • 問診生成AI
    患者さんが病院に来る前に、自宅でAIと会話しながら症状や薬の状況を入力しておく仕組み。
  • 看護音声入力AI
    看護師さんが話すだけで記録文書をAIがまとめてくれる仕組み。

これによって、病院のスタッフの仕事が 25%もラクになった そうです。

さらに、看護師さんが1日で使う記録の時間(約94分!)を短縮し、患者さんと向き合う時間を増やせるようになるとのこと。

ニュースの中では、工藤先生(腫瘍内科部長)が「副作用をもっと細かく管理できる」と言い、山根看護部長が「AIの文書を確認することで、より正確な記録ができる」と語っています。

つまり、AIが医療の現場で実際に人を助け始めた、ということなんです。


2. 難しい言葉をかんたんに

ニュースには「生成AI」「副作用管理」「HL7FHIR」など、ちょっと難しい言葉が並んでいます。ここでは小学生でもわかるように言い換えます。

  • 生成AI:AIが言葉や文章をつくるしくみ。
  • 問診:お医者さんや看護師さんが「どんな症状がありますか?」と聞くこと。
  • 副作用:薬を飲んだときに、本来の効果以外に出てしまう困った症状(例:お腹が痛い、気持ち悪い)。
  • HL7FHIR:病院で使うデータのルール。いろんな病院やシステムで情報を共有しやすくするための国際ルール。

3. パンダ君とハムスターちゃんの事例

🐼 パンダ君が病院に行く日

パンダ君は最近ちょっと体調が悪いので、がんセンターで診てもらうことになりました。
でも病院って、行ったらまず紙に名前や症状を書かないといけませんよね。

パンダ君:「あれ?頭痛とお腹の調子と…書ききれないよ!しかも字が下手で読めるかな…」

そこで活躍するのが 問診生成AI です。
パンダ君は自宅でAIと会話しながら、声で症状を入力しました。

AI:「今日はどんな症状がありますか?」
パンダ君:「お腹がちょっと痛いのと、夜眠れないんだ」
AI:「お薬は飲んでいますか?」
パンダ君:「はい、昨日から飲んでます」

こうして入力した情報は、病院に行く前に先生や看護師さんが全部見られるのです。

🐹 ハムスターちゃんが看護師さん

一方で、病院で働くハムスターちゃんは看護師さん。毎日患者さんをケアするのにとても忙しいです。

ハムスターちゃん:「患者さんとお話するのは好きなんだけど、記録に毎日90分以上かかってヘトヘト…」

そこで役立つのが 看護音声入力AI

患者さんとの会話をハムスターちゃんが声で話すと、AIが自動でまとめて記録してくれます。

ハムスターちゃん:「今日はパンダさん、夜眠れなかったそうです」
→ AIがササッと文書にして電子カルテにまとめる!

しかもAIがつくった文書は、人間が書くより評価が高いとのこと。
ハムスターちゃんは確認するだけでよくなり、患者さんとの会話に集中できます。


4. 医療×お金の話

ここで大事なのは「お金」と「効率」です。

  • 病院ではスタッフが人手不足 → 記録や問診に時間をとられると、人件費が増える。
  • AIを導入すると → 記録の時間が短くなり、同じ人数でももっと多くの患者さんを診られる。

例えば、看護師さんの記録時間が1人あたり1日30分短くなるとします。
1か月で約15時間分の労働が浮く計算です。
病院全体では、人件費の削減や患者対応時間の増加につながり、結果的に 医療の質もお金の使い方も良くなる のです。


5. メリットと課題

メリット

  • 患者:事前に症状をAIに伝えられる → 病院で落ち着いて診察を受けられる
  • 医師:診察に入る前から情報が揃っている → より深い会話に集中できる
  • 看護師:記録時間が減る → 患者ケアの時間が増える
  • 病院全体:人件費や業務の効率化 → 経営的にもプラス

課題

  • AIの精度が100%ではないので、必ず人間がチェックする必要がある
  • プライバシー保護やデータの安全性をどう守るか
  • AIに頼りすぎて、人間らしい会話や温かさが薄れてしまうリスク

6. まとめ

今回のニュースは、「AIが実際に病院で働き始めた」 という、とても大きな一歩です。

  • 患者にとっては、伝えたいことをもれなく残せる安心感。
  • 医療者にとっては、業務が効率化して患者と向き合う時間が増える。
  • 病院にとっては、人件費の最適化や質の高い診療につながる。

パンダ君とハムスターちゃんの物語のように、AIが人と協力することで「よりよい医療」と「持続可能なお金の使い方」の両立が少しずつ進んでいます。

これから他の病院や診療科にも広がれば、みんなの医療体験がもっと良くなるかもしれません。