国立大学病院が過去最大の赤字へ──「高額医薬品」と「働き方改革」が突きつける“医療の持続可能性”とは?


🐼ヘルスケアとお金に関わる難しいことをシンプルに解説します
おはようございます☀️ももんがパピです。
今日もヘルスケアやお金に関するニュースをわかりやすく解説して、読者の皆様方のヘルスリテラシー向上にお役に立てれば幸いです。


🩷今日のテーマに込めた想い

今日のテーマは、「国立大学病院の経営危機」。
──なんて聞くと、「なんか難しそう」「自分には関係ない話かも」と思うかもしれません。
でも実は、病院のお財布がピンチになると、わたしたちの“未来の医療”にも直結するんです。

今回のニュースでは、全国42の国立大学病院が400億円以上の赤字に陥る見込みだと発表されました。
これは単なる「経営の話」ではなく、「新しい薬が生まれにくくなる」「治験が止まる」など、未来の患者さんに届く医療のチャンスが減ることを意味します。

そこで今日は、
「なぜ大学病院が赤字なのか?」
「それが新薬開発にどう関係するのか?」
「私たちはこの問題をどう考えればいいのか?」
──この3つを、パンダ君とハムスターちゃんのやりとりを交えながら、やさしく紐解いていきます。


✅①「高額医薬品」が病院を苦しめているって本当?

大学病院では最先端の医療を提供していますが、そのぶんとても高い薬を使うことが多いです。
CAR-T療法など1回で数千万円する薬もあり、薬の値段が上がれば上がるほど、病院の利益は減るという逆転現象が起きています。

保険からお金が出るとはいえ、病院には「人件費」や「機器の維持費」も必要。
つまり、高度な治療をすればするほど“赤字”になる構造なんです。
これが「高額医薬品問題」のリアルです。


✅②「働き方改革」も病院の経営を圧迫している

医療従事者の残業が“見える化”され、正しく支払われるようになりました。
これは良いことですが、人件費の増加という現実的な負担にもつながっています。
さらに、物価高で光熱費・医療機器の保守費もアップ。
その結果、診療報酬の引き上げ分よりも支出が上回るという「トリプルパンチ」に。

医師や看護師の“働く安心”を守るための改革が、今度は“病院の安心”を揺るがしている。
──なんとも皮肉な構造です。


✅③「治験」が止まれば、新薬が生まれなくなる

大学病院は、単なる治療の場ではありません。
未来の薬を生み出す「研究の拠点」でもあります。
でも、経営が苦しくなると、治験(新薬の試験)に使う病棟や人員を確保できません。

「CAR-T療法をやりたくても赤字で人が足りない」
「治験病棟を維持できない」──そんな声が現場から出ています。
つまり、経営の問題は、患者さんの未来の希望を減らす問題でもあるのです。


🩵こんなニュースをわかりやすく解説します(2025年10月17日)

国立大学病院の経営危機が深刻化。
全国42病院の2025年度の損益は400億円超の赤字見込み。
高額医薬品の使用増や人件費・光熱費上昇が主な要因で、
新薬の治験にも支障を来す懸念が出ています。
大学病院長らは「過去最大の危機」として、診療報酬の大幅引き上げと緊急支援を求めています。

出典:国立大学病院長会議・2025年10月17日発表(Answers News)


🐼🍵本文:ももんがパピが語る「パンダ君とハムスターちゃんの大学病院見学記」


パンダ君:「ねぇハムスターちゃん、大学病院ってスゴイよね!新しい薬の研究とか、手術ロボットとか、未来の医療が詰まってる感じだよ!」

ハムスターちゃん:「うん、でも最近その“スゴイ場所”がピンチらしいよ。お金が足りないんだって。」

パンダ君:「え?病院って、患者さんが来れば来るほど儲かるんじゃないの?」

ハムスターちゃん:「それがね……“儲からない病気”っていうのがあるの。」

パンダ君:「“儲からない病気”!?!? そんなのあるの!?」

ハムスターちゃん:「たとえば“CAR-T療法”っていう最先端のがん治療。1人の患者さんに使う薬が数千万円。でも、治療に関わる人件費とか設備の費用は報酬にあまり反映されてないんだって。」

パンダ君:「なるほど……。つまり、頑張って最新医療をやるほど赤字になっちゃうってこと?」

ハムスターちゃん:「そう!だから『治す努力をすればするほど病院が疲弊する』という矛盾が起きてるの。」

パンダ君:「それじゃ、未来の薬を作るための“治験”も大変じゃない?」

ハムスターちゃん:「うん。実際に京都大学病院や千葉大学病院では、治験用の病棟を維持するお金や人手が足りなくなってるんだって。」

パンダ君:「えー!じゃあ新しい薬の開発も遅れちゃうかも……。」

ハムスターちゃん:「その通り。だから病院長さんたちは、国に“診療報酬をもっと上げてください!”ってお願いしてるの。」

パンダ君:「なるほど〜。でも、なんでそんなに薬が高いの?値段を下げる交渉とかできないの?」

ハムスターちゃん:「実はね、東京科学大病院では“フォーミュラリー”って仕組みで、似たような薬をまとめて安い方を使う工夫もしてるんだって。でも、効果には差があるし、患者さんによって合う薬が違うから、全部は統一できないのよ。」

パンダ君:「なるほど、簡単じゃないんだね……。病院の人たちも工夫してるけど、限界があるんだ。」

ハムスターちゃん:「そうなの。しかも、働き方改革でお医者さんたちの残業が“ちゃんと見える化”されて、支払うお金も増えた。これはいいことだけど、経営的には重荷になるの。」

パンダ君:「みんなを守る改革が、逆に病院を苦しめる……なんか切ないね。」

ハムスターちゃん:「でもね、希望もあるんだよ。今は“持続可能な医療”をどう作るかって、国全体で議論が進んでるの。
テクノロジーで効率化したり、働く人をサポートしたり、“賢いお金の使い方”を見直す動きも出てるんだ。」

パンダ君:「そっか!“赤字の話”って暗く聞こえるけど、実は“医療を未来につなげるチャンス”でもあるんだね!」

ハムスターちゃん:「そういうこと!ももんがパピ先生が言ってたよ。“お金の話は、未来の希望を守る話でもある”って!」

パンダ君:「なるほど!じゃあぼくも将来、“お金に強いパンダドクター”になる!」

ハムスターちゃん:「それは頼もしいね〜🐹💖」


🌱まとめ:未来の医療を支える「経営という土台」

大学病院の赤字は、単なる数字の問題ではありません。
「人を救う力」と「お金の仕組み」をどう両立させるか──それが今問われています。

  • 高額医薬品の時代に、医療の価値とコストのバランスをどうとるか
  • 働き方改革で“人を守りながら”、どう持続的に病院を運営するか
  • 治験や研究という「未来への投資」をどう守るか

この3つの問いに向き合うことが、「新薬が生まれる社会」を守る第一歩です。
そして私たち生活者も、医療とお金の関係を“自分ごと”として理解する力=ヘルスリテラシーを育てることが求められています。


📚引用元

また、本記事の引用元は以下になっております。
・タイトル:国立大学病院の経営「過去最大の危機」新薬開発への影響懸念
・URL:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/31095/