【再生医療の“仮免”とお金の話】
──有効性がまだ「推定」なのに高い薬価をつけてもいいの?
🐼ヘルスケアとお金に関わる難しいことをシンプルに解説します
おはようございます☀️ももんがパピです。
今日もヘルスケアやお金に関するニュースをわかりやすく解説して、読者の皆様方のヘルスリテラシー向上にお役に立てれば幸いです。
Contents
🩷今日のテーマに込めた想い
今日のテーマは「再生医療の“仮免許”とお金の関係」です。
みなさん、「再生医療」って聞いたことありますか?
ケガや病気で失われた体の機能を、細胞や組織を使って“よみがえらせる”という、夢のような医療です。
でも最近、この分野でちょっとした議論が起きています。
「まだ効果が“はっきりしていない”段階で、高い薬価(くすりの値段)をつけてもいいの?」という問題です。
中医協(ちゅういきょう:医療費や薬価を決める国の会議)では、2026年度の薬価制度改革に向けて、条件・期限付きで承認された再生医療製品の扱いを見直そうとしています。
簡単にいうと、「仮免許みたいな状態の薬」をどう評価すべきか──という話。
たしかに患者さんに早く届けることは大切ですが、効果がまだ“推定”の段階なのに高い値段をつけていいのか?という声が上がっています。
今日はこの難しい話を、いつものように🐼パンダ君と🐹ハムスターちゃんが、生活者の目線でかみくだいてくれます。
✅①「仮免」の段階では、まだ“効果がわかりきっていない”
再生医療の一部は、まだ“試運転中”のような状態で承認されます。
これを「条件・期限付き承認」といいます。
たとえば、車の仮免許で「この道だけ運転してOK」というように、医薬品も「まだ完全ではないけど、安全性は確認できたから、条件付きで使っていいよ」という仕組みなんです。
🐹ハムスターちゃん:「でも、仮免でも高いお金がかかるの?」
🐼パンダ君:「そうなんだよ。実は“仮免”の段階でも薬価(くすりの価格)がついていて、保険で使えるようになっているんだ」
問題はここです。
まだ効果が「推定」なのに、しっかり効果がある薬と同じように高い価格を設定してしまうと、結果的に医療費のムダが出る可能性があります。
医師会の江澤委員は「通常の承認と同じ扱いはあり得ない」と指摘しました。
つまり、“本当に効くのか確信が持てないうちは、慎重にしよう”ということです。
✅② “逃げたもの勝ち”を防ぐためのルールづくり
2024年には、実際に2つの再生医療製品が“本承認”を得られず、薬価から削除されるという出来事がありました。
それが「コラテジェン筋注用4mg(アンジェス)」と「ハートシート(テルモ)」です。
🐹ハムスターちゃん:「えっ? じゃあ、その間に使っていた人たちの費用は?」
🐼パンダ君:「うん、それが問題なんだ。保険でお金が出ていたから、結構な額が動いているんだよ」
日本医師会の江澤委員は、こう言いました。
「結局は十分な根拠が認められずに保険から除外される一方、それまでの利益は確保される。これでは“逃げたもの勝ち”になってしまう」
つまり、企業が途中で再申請をやめてしまった場合、結果的に“もうけ逃げ”のような構図が生まれてしまう。
これは制度の信頼を揺るがす問題です。
再生医療は社会の希望を背負う分野ですが、同時に「お金の透明性」も問われる時代になっています。
そのため、有効性の確認があいまいな段階では加算(価格の上乗せ)をつけない方針を検討する声が強まっているのです。
✅③ 本承認後に“正しい評価”をやり直すことが大切
では、どうすればいいのでしょうか?
答えはシンプルです。
🐼パンダ君:「仮免のときは控えめに、でも本免(本承認)が取れたら正しく評価しよう、ってことなんだよ」
🐹ハムスターちゃん:「つまり、“後でちゃんと見直す”ってことね!」
そのとおり。
実際、今回の中医協の議論でも、「本承認後に改めて補正加算(評価の上乗せ)を検討するのは良い」との意見が出ました。
たとえば、
- 仮免のときは“効果ありそう”程度に控えめな価格
- 本承認で“効果が確実”とわかれば、その分を再評価
こうすれば、公平で透明な制度になります。
また、条件付き承認を出しても、企業が途中で申請を取り下げてしまうケース(再申請放棄)についても「何らかの対応を考えるべき」との声がありました。
つまり、
「仮免で走り出したら、最後までちゃんと本免を取りに行こう」
というのが、今回の議論のポイントです。
🧩パンダ君とハムスターちゃんの“再生医療カフェトーク”
🐹ハムスターちゃん:「ねえパンダ君、“再生医療”ってすごく希望があるけど、なんだか難しいね」
🐼パンダ君:「うん、夢の技術なんだけど、値段のつけ方がむずかしいんだ。だって“命を救うかもしれない薬”と“まだ確かじゃない薬”を、同じように扱うのはちょっと違うでしょ?」
🐹:「でも、もし自分や家族が重い病気だったら、“少しでも希望があるなら使いたい”って思っちゃうかも…」
🐼:「そうだよね。だからこそ、国も“できるだけ早く使えるように”と条件付き承認を認めてるんだ。でも、そのぶん制度が甘いと、保険財政がもたなくなるんだ」
🐹:「そっか。みんなの保険のお金を使うから、慎重に判断しないといけないんだね」
🐼:「そう!再生医療は“希望と責任”のバランスが大事なんだ」
🐹:「じゃあ、有効性が“推定”の段階では加算なし、本承認で再評価──これが今後の方向性なんだね」
🐼:「まさにその通り!パンダ先生の言う“慎重さの医療経済学”ってやつさ🐾」
💬ももんがパピのひとことまとめ
再生医療は、人の未来を変える力を持っています。
でも、だからこそ「効果がまだ不確かな段階」でどこまで公的保険で支えるか──これはとても難しい問題です。
制度としても、
- 患者に早く届けたい(スピード)
- 医療費を公平に使いたい(バランス)
この2つをどう両立させるかが問われています。
今回の中医協の議論は、まさにこの“せめぎ合い”の中で行われています。
「仮免段階では控えめに、本免で堂々と評価する」──そんな健全なルールづくりが、再生医療の信頼を支えるカギになるでしょう。
🪙シンプルにわかる!まとめポイント
- 再生医療には「条件・期限付き承認(仮免)」という制度がある
- まだ効果が“推定”の段階なのに高い薬価をつけるのは慎重に
- “逃げたもの勝ち”を防ぐためのルールづくりが必要
- 本承認後に改めて補正加算(再評価)を行う方向で議論中
- 患者への早期提供と医療費の公正性、その両立が課題
🐼ハムスターちゃんの学びメモ
「再生医療=希望の技術」
「でも薬価制度=社会全体のお金の仕組み」どちらも正しいからこそ、ちゃんと“見直せる仕組み”が大事だね。
📚こんなニュースをわかりやすく解説しました
中医協合同部会は2025年10月15日、条件期限付き再生医療等製品の算定方法見直しに関する議論を開始しました。
有効性の確認が「推定」にとどまる段階での補正加算(有用性加算など)については否定的な意見が多く、今後の薬価制度改革では「本承認後の再評価」を軸に検討が進む見通しです。
また、本記事の引用元は以下になっております。
・タイトル:中医協合同部会 条件期限付き再生医療等製品の算定方法見直し 有効性「推定」段階の補正加算に否定的
・URL:https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=79123&ex251016e
🩷ももんがパピより
「未来の医療は希望であり、制度はその希望を支える土台です。
どちらかが崩れないように、バランスを考え続けたいですね🐾」

