親が倒れたら、いくらかかるの?
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医療と介護のWパンチで家計が崩れる前に知っておきたいこと
読了時間:5分
「まさか、うちの親が…」
そう思っていた矢先、実家から一本の電話。
「お父さんが倒れて…」気がつけば、あなたは病院とのやりとり、ケアマネジャーとの調整、そして通帳とにらめっこ。
いわゆる“サンドイッチ世代”。
親の介護と子どもの教育費の両立に追われる40〜60代が、いま直面する現実です。このブログでは、
「親の医療・介護費がダブルでかかったとき、家計はどうなるのか?」
をリアルな数字・事例・やさしい例え話で紐解いていきます。
「
医療と介護のWパンチ
」は、どれくらいの負担になるのか?
● ある家庭のリアルな事例
田中さん(50歳・会社員)のケース。
お父様が脳梗塞で倒れ、急性期病院に3週間。
その後、リハビリ病院に2か月入院し、要介護3で介護施設に入所。
実際にかかったお金(ざっくり)
費用項目 | 目安 |
---|---|
急性期医療費(高額療養費適用後) | 約20万円 |
リハビリ病院 | 約15万円 |
介護施設 初期費用+月額 | 初期30万円+月15万円 |
合計(約3か月) | 約80万円超 |
そして、このお金 誰が払うのでしょうか。自分ですか?お父さんですか?
お父さんであれば、お父さんの貯金口座はそれに対応できる状態ですか?その確認はできていますか?
● どうしてこんなに費用がかさむのか?
- 医療費は一時的に高くつきやすい
- 介護は“継続費用”で毎月出ていく
- 公的支援(高額療養費・介護保険)には限度額がある
医療費は「一時的にドカンと高くなる」
たとえ話:「ライオンがケガした日の病院代」
ライオンくんがケガをして、レントゲン・薬・手術と“いっきに”お金がかかる。
でも元気になれば通院しなくてOK。
医療費は「一時的」に大きくかかるお金。
介護は「毎月じわじわと続く費用」
たとえ話:「カメのおじいちゃんの見守り生活」
毎日ごはんや入浴を手伝ってもらうケアが続く。
毎月の費用は少なく見えても、長く積み重なっていく。
介護費用は「じわじわ型」。
公的支援には「限度額」がある
たとえ話:「ゾウの水くみルール」
大きなゾウでも、水をくめるのは一定量まで。
制度にも「上限」があり、全額はカバーされない。
難しい制度を「シンプル」に解説!
● 高額療養費制度ってなに?
たとえ話:「ゾウの井戸水の話」
水をたくさん飲むゾウに「一定以上の費用は免除」というルール。
高額療養費制度:1か月の医療費が一定額を超えると超過分が戻る制度。
● 介護保険制度ってなに?
たとえ話:「カメのサポートセンター」
サポートセンターで介助してもらえるけど、カメも1~3割は費用負担。
介護保険制度:自己負担1~3割で介護サービスが受けられる。
「介護か、医療か」ではなく「両方くる」前提で備えよう
● よくある誤解:「親が健康だからまだ大丈夫」
→ 実際は、要介護認定の半数が75歳以上。
突然の発症が多く、「今こそ備え」が必要。
● 突然の出費に備える3つの視点
- 親の年金・資産の確認
→ 介護費用を親の資産でどこまで賄えるか? - ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談
→ 公的支援の申請や調整をプロに任せる - 自分の家計とのバランス確認
→ 教育費や住宅ローンと介護費の兼ね合いを再点検
「親の老後と向き合う」ためにできること
● 事前に話し合っておくべきこと
- 延命治療の希望
- 介護が必要になったらどうするか
- 財産や保険の状況
書面に残すなら「エンディングノート」が有効
● よくある3つの実例
① 同居で看るパターン
家賃はかからないが、時間的負担と介護離職のリスクが高い
② 介護施設に入れるパターン
経済的負担は大きいが、仕事との両立がしやすい
③ デイサービス+在宅介護のハイブリッド型
バランス型だが、送迎や調整の労力が必要
知っておきたい“お金の出口”と“入口”
● 介護と医療の「出口(支出)」
- 月額支出:5〜15万円(平均)
- 初期費用:30〜100万円が突発的に必要
● お金の「入口(助成や保険)」
- 高額療養費制度(医療費の上限補助)
- 介護保険(1〜3割負担で利用)
- 民間保険(医療・がん保険など)
注意点:民間保険の多くは「入院日額型」。
長期の介護には不向きな場合も。備え方の見直しが必要です。
締めの一言
介護と医療、どちらも「まだ先の話」ではありません。
「その時」が来てからでは、選択肢は限られます。
今だからこそ、
親とも、パートナーとも、自分の未来を話し合ってみませんか?
家族の未来は、“話すこと”から始まります。
最後に:おすすめ図書
【制度とお金の理解を深めたい人へ】
『親の介護で自滅しない選択』
太田差惠子 著|日本経済新聞出版
介護と仕事、家計のはざまで悩む人に向けた「自分を守る」介護入門書。制度・費用・働き方のバランスが見える1冊。
【心の準備と家族との対話を進めたい人へ】
『親が倒れたあとに読む本』
太田差惠子 著|日経BP 『親が倒れたあとに読む本』
突然の介護のはじまりに、何をどう決め、誰に相談するのか。実話ベースの構成で、感情と制度を両輪で理解できる。
『もしものときに困らない エンディングノートの書き方』主婦の友社 編
財産・治療方針・連絡先まで、家族で話すきっかけに最適な実用書。ワークシート形式でそのまま記入できる。
【家族と未来を描く“思考の道具”として】
『ライフシフト2』
アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン 著|東洋経済新報社
人生100年時代の“親の老後”と“自分の未来”をどうデザインするか。介護=終わりではなく、可能性の問い直しへ。